大相撲の元幕内で、25日に現役引退を発表した西三段目22枚目の矢後(32)=本名・矢後太規、北海道出身、押尾川部屋=が26日、両国国技館で会見し「関取も経験できて幕内までいくこともできた。最後までやり切れたと思う」と穏やかな表情を浮かべた。
幕内在位は4場所。最近は両膝痛で令和4年名古屋場所を最後に関取から遠ざかっていた。「中学の頃に痛めた右膝の影響は大きかった」と長らくけがとも向き合って闘ってきたが、故障に泣いた。「ここ数場所、成績もよくなくて。先場所、(押尾川)親方(元関脇豪風)と相談して(引退を)決めた」と打ち明けた。
千代雷山を寄り切った秋場所13日目(25日)が最後の一番となった。「今場所は(3勝4敗で)負け越したが、自分の左四つの相撲で最後、勝てたのですっきりした気持ちで終わることができたのでよかった」。
幕内経験者で西十両7枚目の友風の話に。「同じ部屋(尾車部屋)に入門して同期生。高校、大学と対戦した。一番特別な人、ライバルというか、ずっと一緒にやってきたので友風のことを思うと、ちょっと泣けますね」と目頭をぬぐった。
思い出の一番には新入幕で勝ち越しを決めた平成31年初場所の阿武咲と対戦した13日目を挙げた。「初めての幕内で勝ち越せてほっとしてうれしかった。連敗(4)が続いていたので勝ててよかった」と懐かしんだ。
会見に同席した押尾川親方は「現役約9年間、一生懸命、頑張ってくれた。まずはお疲れさんという言葉ですね」と矢後をねぎらった上で、「中学校を卒業して15歳で親元を離れた。親孝行というか、親元を離れていた期間の〝穴〟をぜひ埋めてもらいたい。お父さん、お母さんもほっとしたのかなと思う」と声をかけた。
矢後は今後、母校・中大の相撲部でコーチを務める予定という。「精いっぱい頑張ります」と誓った。