大相撲秋場所2日目(14日、両国国技館)史上14組目の兄弟幕内となった東前頭13枚目の兄、朝紅龍(27)と同15枚目朝翠龍(26)はともに白星で2連勝。兄弟同時の幕内在位は9組目だが、その初めての場所で2人が初日から2連勝するのは史上初めて。横綱、大関陣は2日連続安泰で2連勝。横綱大の里(26)は平幕琴勝峰(27)を押し出し、「綱とり」の大関霧島(30)は新小結伯乃富士(23)を寄り倒した。2場所連続優勝を目指す大関安青錦(22)は高安(36)を寄り切った。

お前がやるなら、俺もやる。江戸時代から数えて史上14組目の兄弟幕内力士となった朝紅龍と朝翠龍が初日に続いて白星。弟で新入幕の朝翠龍は湘南乃海を寄り切り。2学年上で幕内11場所目の兄は、2番後の取組で阿炎を押し出す快勝だ。

兄弟幕内のうち同時の幕内在位は9組目。その初めての場所で2人が2連勝発進するのは史上初の快挙。朝翠龍は「すごい。うれしい。でも、まだ2日目だから」と笑みが広がった。

175センチ。120キロ。小さな体の朝翠龍は左を差して一気に前へ。60キロも重い湘南乃海にまわしを与えず、速攻相撲がさえた。ほぼ同じ体つきの朝紅龍は178センチ、122キロ。阿炎の突き放しを封じて押し出した。「弟が勝ったので、自分も勝ちたいと…」。

2人の最愛の母、石崎直美さんが2月下旬、がんのため58歳で亡くなった。幕内の土俵に立つ兄弟の姿を見せることはできなかったが、1つでも多くの白星を天国へ届けたいと願う思いは同じ。番付で兄に追いついた弟は「兄からいろいろアドバイスをもらっている。同じ小兵同士。分かり合えることもある」と話した。

まさに「切磋琢磨(せっさたくま)」。この文言は中国の春秋時代、最古の詩集「詩経」にある。「切」は骨や象牙を切ることで、「磋」はそれを研ぐ意味。「琢」は玉や石を打ちたたき、「磨」はそれに磨きをかける。衛(えい)という領土を治めた武公は、自分に至らないところがないか一生をかけて問い続けた。その生き方をたたえ、完成した細工品にたとえた言葉といわれる。

亡くなった母が夢見た景色。朝翠龍は「このまま続けていきたい」。競い合う小兵兄弟に、磨きがかかる。(奥村展也)