大相撲でモンゴル出身の旭富士が九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)での新十両昇進を決めた。初土俵から所要6場所で関取の座をつかみ、年6場所制となった昭和33年以降初土俵では高鉄山、土佐豊、常幸龍、炎鵬に並ぶ1位のスピード出世(付け出しは除く)となった。

15歳で来日して神奈川・旭丘高へ留学。在学中の実績はなかったが、卒業後に伊勢ケ浜部屋へ入門した。日本相撲協会の規定で外国出身力士は「1部屋1人」が原則。横綱照ノ富士が引退するまでの4年半、稽古に没頭。関取衆を圧倒するほどとなり、初土俵から極めて異例となる横綱のしこ名を継承した。

昨年九州場所で初土俵を踏むと序ノ口から幕下まで4場所連続で制し、昭和33年以降で初の快挙を遂げた。187センチ、152キロの体格で上手を引くとパワーがあり、前さばきもうまい。所要6場所でのスピード出世にも「特に何も感じない」と淡々。同郷の師匠・伊勢ケ浜親方(元横綱照ノ富士)は「アマチュアで目立った実績がなかった力士が、プロに入って華々しい結果を残して上がっていくのは良い影響になるのではないか」と期待を寄せる。

8月に肋骨を折ったが西幕下筆頭の秋場所では6勝1敗の好成績。所要7場所で新十両となった63代横綱旭富士(現宮城野親方)を上回る〝先代超え〟を果たす一方、「内容は全然駄目。前に出る相撲ができていなかった」と笑顔を見せず。来場所に向け「前に出る相撲を取りたい。いい相撲を取れば優勝できる」と青色の締め込み姿での躍進に自信を示した。

宮城野親方は「幕下が相手だと力の差がありすぎて、旭富士らしい相撲が取り切れていない。番付が上がるほど本領を発揮するだろう」。左右どちらの四つでも取れ、力強い寄り、強烈な投げもある。初土俵から元横綱のしこ名を名乗ったのは米ハワイ州出身の元大関小錦の例がある。旭富士が〝2代目〟を名乗る自覚も十分にある。

伊勢ケ浜部屋は関脇熱海富士を筆頭に10人の関取衆を誇る。熱海富士は秋場所終盤に5連敗と大きく崩れ、8勝に終わったことで大関とりは振り出しに戻った。最後の5日間は下半身のもろさや相撲の甘さを露呈。浅香山審判部長(元大関魁皇)は「この状況は厳しい。15日間を平常心で取らないといけない」と注文を付けた。

伊勢ケ浜親方は「日本人以上に相撲を理解して勉強することを心がけて愛される力士になってほしい」と願いを込めた。熱海富士が大関昇進にもたつくようであれば、一気に伊勢ケ浜部屋の部屋頭に上り詰める可能性を秘める。学生相撲で結果を残してから大相撲入りする者が多い近年の傾向を覆す。(江坂勇始)