大相撲秋場所は横綱大の里が12勝3敗で6場所ぶり6度目の優勝を果たした。昨年の九州場所で左肩を痛めてから不振に陥り、2度の休場を経験するなど苦労したが、1年ぶりの復活優勝。大関安青錦との千秋楽相星決戦を制し、表彰式で君が代を聴くと涙が止まらなかった。

その涙以上に印象に残ったのは、千秋楽翌日の9月28日に行われた優勝一夜明け会見での言葉だ。大の里は「13勝、14勝、15戦全勝してこそ強い横綱。そこに向けてしっかり稽古していく」と決意を示した。

大の里がけがで精彩を欠いている間、最近6場所の優勝ラインはすべて12勝だった。15日制が定着した昭和24年(1949)夏場所以降、12勝以下の優勝が続くのはそれまで3場所(過去3度)が最長だったが、それをはるかに超えてしまっている。

15日制定着後の優勝成績は15戦全勝が75回、14勝が160回、13勝が147回で、12勝が57回、11勝が4回。さすがに12勝以下は全勝より少ないレアケースだが、令和になると話が変わる。全勝はわずか2回(白鵬、照ノ富士)、14勝が6回、13勝が14回で、12勝が21回もあり、11勝も1回。計44場所のうち、なんと半分は12勝以下で優勝が決まっている。低レベルと思われた優勝が今では当たり前になっているわけだ。

それだけに、大の里の言葉は頼もしい。幕下付け出しデビューから史上最速のスピード出世で横綱に駆け上がった大器で、まだ26歳。肩のけがをしっかり治し、高いレベルの優勝で横綱の権威を示してほしい。

大の里の前回の優勝は昨年秋場所の13勝だった。14勝での優勝も昨年夏場所の大の里(当時大関)が最後で、15戦全勝となると令和3年(2021年)九州場所で横綱照ノ富士が達成したときまでさかのぼる。それ以来5年、もう29場所も全勝力士は出ていない。全勝が3年以上ないのは5度目で、2番目の長さを更新中なのだ。

18場所のブランクは昭和38(1963年)夏場所に横綱大鵬が止め、20場所のブランクは昭和52年(1977年)春場所に横綱北の湖が止めた。28場所のブランクは平成6年(1994年)に大関武蔵丸がストップ。平成8年(1996年)九州場所から43場所にも及んだ最長ブランクは平成16年(2004年)初場所に横綱朝青龍が終止符を打った。

全勝優勝を果たすのは、さすがにのちに2桁優勝を飾る強豪ばかりだ。この系譜に大の里が連なることを期待したい。(牧慈)