大相撲秋場所12日目(24日、両国国技館)「大関とり」に挑む関脇熱海富士(24)は、単独首位の横綱大の里(26)の下手出し投げに屈して4敗目を喫し、場所後の大関昇進は極めて厳しくなった。13日目に大の里が勝ち、3敗の大関安青錦(22)、新関脇藤ノ川(21)、平幕朝乃山(32)の全員が敗れると、6場所ぶり6度目の優勝が決まる。大関陣は安青錦が金峰山(29)を寄り切り、琴桜(28)は欧勝馬(29)を押し出して8勝目を挙げ、勝ち越した。

太鼓腹にべっとりついた土俵の砂が、むなしさを引き立たせる。関脇熱海富士が今年に入って3連勝中だった大の里に敗れて2連敗。4敗目を喫し、場所後の大関昇進は風前の灯となった。

支度部屋へ戻った熱海富士は右足で地面を踏み鳴らし、「あ~!」と声を張った。大関昇進の目安は「直近3場所を三役で33勝以上」。熱海富士は5月の夏場所は9勝、7月の名古屋場所では12勝3敗で優勝決定ともえ戦へ進む優勝同点。この黒星で、目安の数字には届かなくなった。

昇進問題を預かる審判部の副部長で、土俵下で見守った九重審判長(元大関千代大海)は「おれが決めることではない。その数字にふさわしくなれば、(昇進の)話はくるだろう」。白星と相撲内容が伴っているかどうかを指摘する。

立ち合ってすぐに横綱に右を差された。左からおっつけながら圧力をかけようとしたタイミングで下手出し投げを打たれて土俵へはった。攻めも抵抗もできない完敗。4敗のうち大関安青錦、霧島、そして大の里と上位には敗れ、壁を突き破れなかった。185センチ、198キロ。巨漢から生まれる出足は迫力が増してきたものの、機運はしぼんでしまった。

「将来の夢」。熱海富士が書いた小学校卒業文集の題名だ。「ぼくは、将来力士になります。横綱になって、土俵入りをするのが夢です」で始まり、「二十八さい『十両』になります」「身長は一八五センチ、体重は一九五キロです」。「スポンサーは、永谷園。毎日お茶漬けを食べます」。

身長や体重はすでに夢以上となり、出世の年齢は目標以上にはやかった。スポンサー契約もそのとおりに実現させた。これから先、伸びしろは十分にある。(奥村展也)