大相撲の現役最年長力士で西序二段45枚目の翔傑(芝田山部屋)が5日、50歳の誕生日を迎えた。昭和以降では、51歳7カ月で引退した華吹以来2人目の50歳力士。「普通じゃない人生を送っているからですからね」と淡々と述べた。
アスリートしてはとっくに峠を越した年齢だが、体力の限界はどこ吹く風と稽古では勢力的に体を動かしている。1日15番前後が当たり前となった時代に30~40番を消化。この日も東京都杉並区の芝田山部屋で序二段の若肥前と浜田山相手に連続で45番。時間にして50分、とても50歳には見えない体には玉のように流れる汗が光っていた。「誕生日なので少し盛りました。若手には悪かったかな」。師匠の芝田山親方(元横綱・大乃国)は「部屋では一番強いし、放っといたら、いつまでも稽古する。本人が目的意識を持ち、力士として自覚して取り組んでいる」と評した。 花の51組と言われた栃東(現玉ノ井親方)、琴光喜、千代大海(現九重親方)、若の里(現西岩親方)、高見盛(現振分親方)らと同じ1976年生まれ。95年春場所の初土俵から31年、コロナ休場の1日をのぞけば一度も休場はなし。歴代最長の187場所連続皆勤の偉大な記録を打ち立て、更新中だ。幸いにも大きなケガはなかったが、土俵に上がり続けられたのは入門時の師匠(元大関・魁傑)の「休場は試合放棄」の教えが大きいという。これまでにも何度も心が折れそうな時もあったというが「何かが吹っ切れない自分がいた。やり残したことがある感じですかね」と漏らす。40代最後の取組となった先場所の14日目。30歳年下だった鶴の里(19)戦で真っ向勝負を演じ、負けはしたが清々しい気持ちに包まれた。「絶対引かないという相撲が取れた。相手も真っ向勝負だったし、それに立ち向かう自分がいた」。ある意味、諦めが付かない、負けて悔しい、力士としての本分はまだ体内にしみこんでいた。 今場所は序二段に転落したが、今年の夏、名古屋は三段目で取った。華吹が30代後半から序二段生活に入り、50歳以降は序二段80枚目以下だったことを考えると、翔傑の凄さが改めて浮き彫りされる。芝田山親方も「場所に行くとどうしても緊張したり考え過ぎて力を出せないが稽古場での相撲が取れれば三段目でも勝てる」と太鼓判を押す。館内からは常に多くの声援が飛び、前日には「翔傑さんの頑張りが励みになっています」とファンレターが届いた。50代初の三段目力士、初の三段目勝利へ。「ここから先は分からないけど、まあケガのないように」と謙虚だが、人間50年なんて儚いもの。やり残したものは何か、これから本当の戦いが待っている。 ☆高齢力士(所属)年齢 期間 最高位 華吹(立浪)51歳7カ月 86年春~22年初 東三18 ※翔傑(放駒→芝田山) 50歳0カ月 95年春~ 西幕4 ※芳東(玉ノ井)I 49歳3カ月 96年初~ 東前12 ※天一(北の湖→山響) 48歳9カ月 93年春~ 西幕10 ※輝の里(鳴戸→田子ノ浦)48歳7カ月 93年春~ 東三23 ◇翔傑 喜昭(しょうけつ・よしあき=本名仲原克明)1976年(昭51)9月5日生まれ、静岡県天城湯ケ島町(現伊豆市)出身の50歳。三島高(現知徳高)卒業後に元大関・魁傑が師匠を務める放駒部屋に入門し、95年春場所「仲原」で初土俵。師匠の定年に伴い、13年2月に芝田山部屋に転籍。横綱・稀勢の里の付け人も務めた。デビュー以来31年間皆勤の鉄人。通算成績は651勝651敗の五分。1メートル83、165キロ。得意は押し。趣味はぶらり散歩。
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