「大相撲名古屋場所・11日目」(22日、IGアリーナ)

かど番の先場所を全休して大関から転落した関脇安青錦が豪ノ山を寄り切って、1場所での大関復帰の条件となる10勝目を挙げ、来場所の大関返り咲きを決めた。現行のかど番制度となった1969年名古屋場所以降、1場所での大関特例復帰は7人目(8例目)で、11日目での到達は最速。賜杯争いでも単独首位に立ち、優勝を同時達成する史上初の快挙も視界に入った。横綱豊昇龍は関脇琴勝峰を上手投げで退けて7勝目。横綱大の里は関脇熱海富士に押し出されて5敗目。綱とりの大関霧島は一山本を押し出して9勝目を挙げた。安青錦を1差で霧島ら5人が追う。

大関復帰を決めた安青錦は大きく息を吐き、顔をほてらせた。風呂から出ると、満面の笑みで床山とグータッチ。「これまで10勝してうれしい、というのはなかったが、今回は特別。勝ててうれしい。自分を信じて、師匠に言われたことをしっかりやって良かった」と胸を張った。

安青錦らしさが詰まった相撲だった。もろ手で押し込まれたが、低い体勢のまま左上手で出し投げを打ち、右で頭を押さえて豪ノ山を崩しながら体を入れ替えた。即座に右を差して寄り切った。

先場所休場の要因である左足首は万全ではなく、中日の隆の勝戦で左足親指を負傷。連日の治療でも左足は大きく腫れたままで、師匠の安治川親方(元関脇安美錦)が「無事に帰ってくれればそれでいい」と語る状況。場所前に関取と相撲を取る稽古は1日のみ。安青錦は「不安はもちろん、怖さもあった。でも土俵に上がると変わる」と、勝負師の魂を見せた。

7人目(8例目)の特例復帰。11日目での成就は最速だ。「昨日から長かった。意識しないようにしても、意識してしまう」と話し「いらないことを考えるのは得意なので」と、軽い冗談を加えるのも安青錦らしい。

昨年の名古屋場所は千秋楽で琴勝峰に敗れて平幕優勝を逃した。それから新三役、初優勝、大関昇進、連覇、綱とり、初の負け越し、休場、大関陥落を経験。「大関に上がったり、下がったり。その時は感じないけれど、振り返ると1年でいろいろありましたね」と振り返った。

1敗を守り単独首位。1場所での大関復帰と優勝を同時達成した前例はない。快挙に向け「悔いがないように。名古屋の皆さんに熱い相撲を見せたい」と誓った。